北陸新幹線 小浜・京都ルートで事実上の決着 |
NHK NEWS WEB 12月14日 18時55分 配信記事より-
北陸新幹線の福井県の敦賀から大阪までのルートを検討してきた与党の委員会は14日、福井県小浜市を通って京都駅に南下する「小浜・京都ルート」が適切だとする報告をまとめました。これによりルートの絞り込みは「小浜・京都ルート」で事実上、決着しました。
北陸新幹線の福井県の敦賀から大阪までの区間について、与党の検討委員会は「小浜・京都ルート」のほか、京都府北部の舞鶴市を経由して、京都駅に向かう「舞鶴ルート」、それに滋賀県の米原駅で東海道新幹線に合流する「米原ルート」の3つの候補から絞り込む作業を進めてきました。
委員会では、関係する自治体や運営するJR西日本などからも意見を聞き、検討した結果、14日の会合で、「小浜・京都ルート」が適切だとする報告をまとめました。報告では「小浜・京都ルート」は、国土交通省の試算で北陸地方の各駅から新大阪までの所要時間が最も短いうえ、運賃や料金も安く、利用者の利便性が高いとしていて、これによりルートの絞り込みは「小浜・京都ルート」で事実上、決着しました。一方、検討委員会では京都駅から先の新大阪駅までの区間については、今後、国土交通省が示すデータを参考に年明け以降、検討を続け、来年の3月末までにルートを固めたいとしています。検討委員会では、この報告を上部組織である与党のプロジェクトチームに提出し、プロジェクトチームが今月20日に最終的に決定することになります。
地元からは歓迎の声
地元の住民からは歓迎する声が聞かれました。70代の女性は「多くの観光客が来ることが予想され、新幹線は小浜の発展には欠かせないと思います。今回の決定で『小浜』という名前が知られて、今よりも、ここで電車を下車してくれる人が増えるのでは」と期待していました。また、60代のタクシー運転手の男性は「新幹線のルートの確定までに40年待ったので、早く開業してほしいです。小浜から京都まで19分ということなので、京都に来ている観光客が、こちらのほうにも来てくれると町が活気づくと思います」と話していました。観光客だけでなく、市民の足としても期待ができるという声も聞かれ、80代の女性は「新幹線が小浜に来ることで関西方面など遠くへ行くのに便利になると思います。今は米原での乗り継ぎが必要で時間がかかるので、この町に止まるというのが、いちばん大きいです」とと話していました。
福井県知事「大変喜ばしい」
福井県の西川知事は「与党の検討委員会が、40年以上の長きにわたる歴史の重みと県民の思いの詰まった『小浜・京都ルート』を適切としたことは大変喜ばしい。京都駅から新大阪駅までの区間については、大阪・箕面市付近を通る『北回り』のルートが優位とされており、所要時間や事業費などの観点から適切に決定して頂きたい」とするコメントを出しました。
石川県知事「財源の確保へ議論を」
石川県の谷本知事は「北陸3県が最終的に足並みをそろえて小浜・京都ルートがいちばんふさわしいと表明をし、その方向に沿って報告をまとめてくれた。財源の確保、中京圏のアクセス確保も検討していくという報告と受け止めているので、与党の委員の皆さんには精力的に議論していただき、心から敬意を表したいと思う」と述べました。そのうえで、今後の課題として「平成42年度までの北海道新幹線の札幌開業までに北陸新幹線の大阪までの開業を実現するために引き続き、精力的に財源の確保について議論してほしい」と話しました。
京都府知事「残念な結果」
「舞鶴ルート」を主張してきた京都府の山田知事は、「残念な結果となった。望んだルートとは異なる結果となっただけに、京都府の北部から山陰にかけての将来ビジョンも含めた利便性の向上が課題として残ると思う。今後、京都市とも協調しながら対応を考えたい」というコメントを出しました。
滋賀県知事「率直に残念」
「米原ルート」が選ばれなかったことについて、滋賀県の三日月知事は「率直に残念に思う。引き続き、米原を結節点とした高速鉄道整備を求めていきたい」と述べました。そのうえで、新しいルートの開通により滋賀県内を走るJR湖西線の利用者が減り、経営が分離される「並行在来線」になるのではないかという懸念について、「地域にとって大切な線区であり、北陸新幹線が県内を通らないという点から、湖西線がJRから分離されることは認められない」と述べ、JRに申し入れを行っていく考えを示しました。
小浜・京都ルートの理由は?
「小浜・京都ルート」は、福井県の敦賀市から西に向かって、小浜市に至り、そこから京都駅へ南下するルートです。先月、国土交通省が示した試算=試みの計算によりますと、このルートは敦賀から大阪までの建設延長がおよそ140キロで、事業費はおよそ2兆700億円と想定しています。新大阪までの所要時間は敦賀からおよそ43分、福井からおよそ55分、金沢からはおよそ1時間19分で、3つのルートの中で最も短いうえ、運賃も最も安いとしています。また、費用対効果の指数は目安となる1を上回り、投資に見合った経済効果が得られると試算しています。一方、「米原ルート」は事業費はおよそ5900億円ですが、東海道新幹線に乗り換える手間がかかり、金沢から新大阪までの所要時間はおよそ1時間41分かかるとしています。また、「舞鶴ルート」は事業費がおよそ2兆5000億円と最も大きく、費用対効果を示す数値が0.7と、投資に見合う経済効果が得られないとしています。こうしたことから、先月から今月にかけて行われた自治体など関係者へのヒアリングでは、運営主体のJR西日本が「小浜・京都ルート」を支持する意向を示し、福井県と富山県も支持を明確にしました。また、態度を明らかにしていなかった石川県も賛同して、「小浜・京都ルート」を推す意見が広がり、今回の報告に至りました。
今後の課題は
今後、最大の課題となるのは2兆円を超える巨額の事業費の確保です。国土交通省が現在、見込んでいる財源では「小浜・京都ルート」に着工できるのは、北海道新幹線を札幌まで延ばす工事が完了したあとの平成43年度からになります。しかし、今回の報告で、与党の検討委員会は国に対して早期の着工を求めていて、沿線の自治体からも同様の要望が出ています。着工時期を早めるには財源を新たに確保する必要がありますが、国の財政事情は非常に厳しく、現時点でめどは立っていません。また、国土交通省は「小浜・京都ルート」の費用対効果の指数は、目安となる1を上回り、投資に見合った効果が得られると試算していますが、今後、人口減少が続く中、期待した経済効果を生み出せるのかも課題です。これについて、与党の検討委員会の報告は「新たな区間の着工については、安定的な財源を確保し、収支採算性、投資効果などを十分に吟味するとともにJRの同意、並行在来線の経営分離についての沿線自治体の同意を確認する事などが必要だ」としています。一方、京都駅から先の新大阪駅までの区間については今回、絞り込みに至らず引き続き検討課題となっています。この区間については、大阪・箕面市付近を通るルートを前提に費用の調査などが進んでいますが、京都や大阪にまたがる「関西文化学術研究都市」付近を通るルートについても、国土交通省が参考ルートとして調査を進めています。与党の検討委員会はこの区間について今後、国土交通省から示されるデータを参考に、どちらが望ましいか年明けから、検討することにしていて、来年3月末までに結論を出したい考えです。
ー以上、NHK NEWS WEB 記事より。北陸新幹線全通まで生きていられるかな。